T 概要
ペスト菌による感染症で、感染症法上、第1類に分類されています。米国及び旧ソ連において、以前兵器化が進められていたそうです。日本では1926年以来、ペスト患者の報告はないそうです。通常、ヒトペストの80〜90%は腺ペストであり、ペスト菌に感染したネズミなどに吸着した、ノミを媒介し感染します。
もし、生物兵器として散布した場合、肺から感染する肺ペストの可能性が高くなります。ペスト菌を吸入後、2〜7日の潜伏期を経て高熱(39℃〜41℃)、頭痛、咳そう、鮮紅色の泡立った痰などの症状が現れます。無治療であるとほぼ100%が死亡しますが、早期からの抗生物質による治療が有効とされています。
肺ペストの場合、ヒトからヒトへ感染します。ほかに、敗血症ペストがあり、昏睡、手足のしびれ、紫斑などの初期症状があらわれます。
U 治療と予防
症状出現後、早期に抗生物質を投与します。ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ドキシサイクリン、シプロフロキサシンのどれかを10〜14日間使用します。予防としては、暴露(注1)された可能性のある場合、ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールのいずれかの投与を開始します。
炭疽同様、素人判断でむやみに服用してしまうと、抗生物質が効かない耐性菌が発現し、以後の治療に障害をあたえる危険があります。医師と十分に相談してからの治療をお勧めします。
死菌ワクチンは腺ペストには有効ですが、肺ペストには有効性が低いそうです。ペスト菌は熱に弱く55℃、15分の暴露(注1)で死滅し、日光下でも数時間以内で死滅します。
(注)治療に関しては、アメリカでのものです。投与内容、量、期間については、主治医の判断によるものです。
戻る
|