炭疽菌(Bacillis anthracis)について
炭疽菌(グラム陽性芽胞形成桿菌)の感染により引き起こされる疾患を炭疽(Anthrax)といいます。全世界に存在する公衆衛生上極めて重要な、人間と家畜に共通に感染するものです。19世紀後半にコッホにより培養され、パスツール(フランスの細菌学者。研究所でよく知られています。)によりワクチンが開発されています。
炭疽という病気

炭疽は、感染部位によりさまざまな症状を引き起こします。

皮膚炭疽
ニキビ様の初期症状。これは、傷口から感染するケースが多く、炭疽の約95%がこの皮膚炭疽です
腸炭疽
吐き気、嘔吐、腹痛、吐血、発熱、腹水の貯留(お腹が腫れる)など
肺炭疽
風邪の様な初期症状。(肺炭疽の場合、発症例が少ないことから、実際の症状についての症状は乏しい。)初期症状の後、呼吸困難による急死、チアノーゼ、昏睡などがみられる。急性症状後、24時間以内に死に至る可能性が多い
炭疽菌性髄膜炎
溶血性髄膜炎、意識消失
自然界の存在場所

自然界では、発展途上国において、動物から季節に関係なく発見されています。まれに、北欧、カナダ、アメリカでも発見されます。これも季節には関係なく発見される。基本的に、野生草食獣によくみられます。この炭疽菌は、マラリアのように虫(マラリアの場合、ハマダラカ)などによって媒介するものではありません。直接、暴露(注1)しないかぎり感染はしません。
日本での感染状況ですが、岩手県にて、死んだ動物を解体し、その肉を食べたことにより集団発生したことがありますが、近年では、ほとんど発見されていない。

注1)暴露・・微生物や毒素を浴びることによって、微生物などが身体に接触したり、侵入したりすることの意味。ただし、暴露したすべての人が感染し発症するわけではありません。

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生物兵器となるものには、4つの特徴がある。また、2つの欠点があると考えています。

特徴として、

1. 研究開発費がかからない
2. 簡単に人から人へ拡散、伝播する(炭疽菌は、伝播しません。)
3. 死亡率が高いこと
4. パニックを引き起こす。恐怖を与える(ここでは、生物兵器抑止力としては・・・)

次に欠点として

1. 地域を制圧する場合、生物兵器使用後の利用が困難では・・・・
2. 細菌培養は、結構難題

現在、米国疾病病管理センター(Centers for Diseases Control and Prevention,CDC)が、注意を払っているのは、炭疽菌、天然痘(Smallpox)の2つです。ほかにも、生物兵器となるものとしては、ボツリヌス菌(からしれんこんで、以前発生)、ラッサ熱、エボラ出血熱(映画、アウトブレイク・・・)も考えられます。

治療と予防

治療については、医師の判断によるものですが、予防としては不審な郵便物が届いた時の対応を理解しましょう。

  • 開けない。

  • 振らない。

  • 投げない。

  • 缶の箱などに入れ隔離する。

  • 警察に連絡する。

暴露後の予防薬としてはシプロフロキサシンが良いとされています。そこで、用法、用量、治療費についてです。
以下の例は米国人の場合ですから、日本人への用量には違いがあることを忘れずに。

成人の場合、シプロフロキサシンとして一日当たり1000mgを2回にわけて12時間毎に投与。投与期間は,60日とされています。治療費は、病院での診察費、薬局での薬代(シプロフロキサシン:1日当たり5錠、約810円。ちなみに14日分では、11340円となります。)、手数料となります。
小児の場合、シプロフロキサシンとして一日当たり20mg〜30mg/kgを2回にわけて12時間毎に投与。投与期間としては、成人同様60日とされています。
治療費は、病院での診察費、薬局での薬代(シプロフロキサシン:体重25kgの小児と仮定すると、1日当たり2.5g〜3.75g、約410円〜約610円。14日分では、約5700円〜8500円となります。)、手数料となります。
注)医療費については目安です。これがすべての医療費ではありません。

参考
シプロフロキサシン200mg錠
163.1円/1錠
シプロフロキサシン100mg錠
88.3円/1錠
シプロフロキサシン細粒
163.1円/1g

※これは、現在では予防的投与となり、保険範囲外となっています。

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自由診療とは

治療、薬は何でも使えるようにはなっていません。正しく治療を行う目安として用法、用量、病名など細かく決められています。そのため、この範囲から外れて治療を行うことを意味します。ほかには、自費などと呼ばれるときもあります。

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